「グループホームを建てたいが、建築資金をどこから借りればよいのか」「金融機関に出す事業計画書に何を書けばよいのかわからない」。長崎県で障がい者グループホームの開設を考える経営者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。グループホームの開設では、土地・建物の資金に加えて、入居者が集まるまでの運転資金も必要です。この記事では、2026年11月時点で公表されている公的な融資制度の条件を整理し、審査で見られる事業計画書の作り方を解説します。

この記事の要点

  • グループホームの融資は、主に「日本政策金融公庫」「福祉医療機構(WAM)」「民間の金融機関(長崎県の制度融資を含む)」の3つから検討します。
  • 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」と「ソーシャルビジネス支援資金」は、融資限度額7,200万円、設備資金の返済期間20年以内です(2026年11月時点の公庫サイト)。
  • 福祉医療機構の福祉貸付では、共同生活援助(グループホーム)事業所は法人が対象で、融資率は80%です(2026年度「融資のごあんない」)。
  • 融資の審査では、事業計画書の「入居の見込み」「人員の確保」「収支と返済の見通し」が重視されるため、根拠を示して書くことが大切です。

グループホームの開設に融資が必要な費用は?

グループホームの開設に必要な資金は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分かれます。設備資金とは、土地の取得、建物の建築、家具・家電などの備品にかかるお金です。運転資金とは、開設後に入居者が埋まるまでの人件費・家賃・光熱費など、毎月の支払いにあてるお金です。

新築で開設する場合、建築費は介護サービス包括型10室で5,000万円台から、日中サービス支援型20室で1億円台からがひとつの目安です(規模・仕様・土地条件で変わります)。障害福祉サービスの報酬は、サービスを提供した月の翌々月に入金される仕組みのため、開設直後の数か月分の運転資金も見込んでおく必要があります。開設全体の流れは障がい者グループホーム開設の流れと建築費用で解説しています。

グループホームで使える主な融資制度は?

グループホームの開設で検討されることが多い融資制度は、次の3つです。どれが合うかは、法人の種類、事業の実績、借りたい金額、担保の有無で変わります。

借入先 主な制度 特徴(2026年11月時点)
日本政策金融公庫(国民生活事業) 新規開業・スタートアップ支援資金、ソーシャルビジネス支援資金 いずれも融資限度額7,200万円。設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置期間5年以内)
福祉医療機構(WAM) 福祉貸付(共同生活援助事業所など) 法人が対象。融資率80%。建築資金は長期・固定の返済期間を選べる
民間の金融機関 プロパー融資、長崎県の中小企業向け制度融資(信用保証協会の保証付き) 地元の銀行・信用金庫などが窓口。条件は金融機関・制度ごとに異なる

公的な融資と民間の融資を組み合わせて資金を集めるケースもあります。まずは必要な金額の全体像をつかみ、どの資金をどこから借りるかを整理することが出発点です。

日本政策金融公庫の融資の条件は?

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方が対象の融資制度です。融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内(いずれも据置期間5年以内)とされています(出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」)。

日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」は、NPO法人のほか、介護サービス事業等を営む方などが対象の融資制度です。公庫のページでは、介護サービス事業等に障がい者福祉事業が含まれると説明されています。融資限度額は7,200万円で、返済期間は新規開業・スタートアップ支援資金と同じです(出典:日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金」)。

据置期間とは、借入後に利息だけを支払い、元金の返済を待ってもらえる期間のことです。開設直後で入居者が少ない時期の資金繰りを助けます。担保・保証人は、どちらの制度も「希望を伺いながら相談」とされています。

福祉医療機構(WAM)の福祉貸付とは?

福祉医療機構(WAM)の福祉貸付とは、社会福祉施設の整備に必要な建築資金などを、長期・固定・低利で融資する国の制度です。2026年度の「融資のごあんない」では、共同生活援助事業所(障がい者グループホーム)は融資の対象施設とされ、融資を受けられる方は「法人」と記載されています(出典:福祉医療機構「2026年度 福祉貸付事業 融資のごあんない」)。

福祉医療機構の融資限度額は、「(所要額−補助金)×融資率」と「担保評価額×80%」のうち低い方です。障害福祉サービス事業の融資率は80%のため、残りは自己資金や民間の金融機関からの借入で用意します。主な条件は次のとおりです。

  1. 償還期間(建築資金・2,000万円以上の場合):耐火構造(準耐火を含む)は20年以内、それ以外は15年以内
  2. 据置期間:償還期間が5年超20年以内なら2年以内、20年超なら3年以内
  3. 担保:原則として土地・建物
  4. 保証人:保証人不要制度(利率の上乗せあり)か、法人代表者などの個人の連帯保証人を立てるかを選ぶ

償還期間は返済期間と同じ意味で、建物の構造によって変わります。木造で計画するか、準耐火にするかは、建築費だけでなく借入の条件にも関わる点に注意が必要です(参考:福祉医療機構 福祉貸付Q&A)。

長崎の金融機関・制度融資はどう使う?

長崎県の中小企業向け制度融資とは、県が金融機関・長崎県信用保証協会と協力して設けている融資制度です。信用保証協会の保証をつけることで、信用力や担保力が十分でない中小企業者を補う仕組みになっています。申込みは取扱金融機関の窓口で行います(出典:長崎県「長崎県中小企業向け制度融資のご案内」)。

制度ごとの対象者・限度額・期間は県の一覧表で定められているため、福祉事業で使えるかどうかは、取引のある金融機関と一緒に確認します。長崎市・大村市・諫早市などでは、地元の銀行や信用金庫が、公的な融資と組み合わせた資金計画の相談に乗ってくれることもあります。

土地を持たずに開設したい場合は、地主様に建物を建ててもらい借り受ける「建て貸し」で、借入額そのものを抑える方法もあります(参考:グループホームの建て貸しとは?)。

融資審査に通る事業計画書の作り方は?

グループホームの事業計画書とは、開設の目的、入居の見込み、人員体制、収支と返済の見通しをまとめ、事業が続けられることを金融機関に示す書類です。審査では、数字そのものより「その数字の根拠」が見られます。次の順番で作ると整理しやすくなります。

  1. 事業の概要:法人の概要、代表者の経歴、開設の目的、サービスの類型(介護サービス包括型・日中サービス支援型など)、定員、開設予定地
  2. 地域の需要:設置予定の市町の障害福祉計画、相談支援事業所や特別支援学校などからの聞き取り、周辺のグループホームの状況
  3. 入居の見込み:開設から満室までの月ごとの入居者数。紹介を受けられる先を具体的に書く
  4. 人員体制:サービス管理責任者・世話人・生活支援員などの配置と、採用の見込み
  5. 収支計画:報酬・家賃などの収入と、人件費・建物の返済・光熱費などの支出を、少なくとも返済期間の前半まで年ごとに示す
  6. 資金計画:必要資金の内訳と、自己資金・借入・補助金の組み合わせ

事業計画書で気をつけることは?

グループホームの事業計画書では、入居率を最初から高く見込みすぎないことが大切です。満室になるまでの期間を慎重に見積もり、その間の赤字を運転資金でまかなえるかを示すと、計画の信頼性が高まります。また、2027年4月からはグループホームの指定に総量規制が導入される予定のため、設置予定の市町の方針を確認したうえで計画に反映します(参考:グループホームの総量規制とは?)。

融資を申し込む前のチェックリスト

  1. 設備資金(土地・建物・備品)と運転資金の総額を出したか
  2. 自己資金の額と、どの融資制度を組み合わせるかを決めたか
  3. 建物の構造(木造・準耐火など)と借入の条件の関係を確認したか
  4. 市町の障害福祉担当課に事前相談し、指定の見込みを確認したか
  5. 入居者の紹介を受けられる先と、職員の採用の見込みを書き出したか
  6. 満室までの期間を慎重に見積もった収支計画と返済計画を作ったか
  7. 担保にできる土地・建物や、保証人の扱いを整理したか

よくあるご質問

Q. 株式会社でも福祉医療機構の融資を受けられますか?

A. 共同生活援助事業所の場合、2026年度の案内では融資を受けられる方は「法人」とされています。個別の可否や条件は、福祉医療機構へ事前に相談して確認します。

Q. 自己資金ゼロでグループホームを開設できますか?

A. 自己資金がまったくない状態での開設は、融資の審査上むずかしくなりやすいです。福祉医療機構の融資率は80%のため、残りをどう用意するかを含めて資金計画を立てます。

Q. 融資の相談はいつから始めればよいですか?

A. 土地や建物の計画がまとまり始めた段階で相談するのがおすすめです。審査には時間がかかるため、建築の契約や工事の日程から逆算して早めに動きます。

まとめ

グループホームの融資は、日本政策金融公庫・福祉医療機構・民間の金融機関(長崎県の制度融資を含む)の条件を比べ、必要な資金に合わせて組み合わせることが基本です。審査では、入居の見込みや人員の確保、収支と返済の見通しを根拠とともに示した事業計画書が重視されます。

コムWELLは、長崎市・大村市周辺を中心に、計画・建築から開設・運営面までをトータルでサポートしています。事業計画書の作成や銀行融資のサポート、地元の地主・不動産会社・金融機関とのつながりを生かした土地探しや建て貸しオーナーのご紹介もご相談いただけます(コムWELLの開設・運営サポート)。

この記事について
執筆:コムWELL(長崎県で介護施設・障がい者福祉施設の計画から建築・開設までをサポート)/最終更新:2026年11月04日
参考:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」、日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金」、福祉医療機構 融資のごあんない、長崎県 中小企業向け制度融資のご案内

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